LOVE SONG COFFEE
受取状況を読み込めませんでした
濃厚なピーチシロップのような甘みから、プラムやベリーの甘酸っぱさへ。
午後3時、気分をひとつ跳ねさせたいときに。
ちいさな寄り道
午後3時。会議と会議のあいだ、返さなきゃいけないメールが一件だけ残っている、あの中途半端な時間。特に何かがあったわけでもない、ただの水曜日です。
そんな日に、このコーヒーを淹れてみてください。
お湯を注いだ瞬間、桃の香りがふわっと立ちのぼって、思わず「え」と声が出ます。ひと口含むと、濃厚なピーチシロップみたいな甘さが、口の中いっぱいに広がる。予定になかった甘さです。
たとえば誕生日の朝。
目が覚めて、カーテンを開けたらきれいに晴れていて、
おめでとう以上に、なにかいいことがありそうな予感がして、
年甲斐もなくスキップしたくなる(最後にスキップしたのは、いつだったでしょう)。
あの浮かれた感じって、片思いの人と隣の席になったとか、初めて話せたとか、そういう感覚とよく似ていますよねぇ。
おじいちゃん、おばあちゃんになっても手を繋いで歩いているご夫婦を見ると、私も妻と、いくつになっても彼氏彼女のようでいたいなと思います。その瑞々しい感情を忘れないでいたい、と誕生日のたびに思わされる。
このコーヒーは、そういう感情を、何でもない水曜日の午後3時に連れてきてくれます。
午後の休憩、日常にひとつ驚きが欲しいときにおすすめです。
川を流れる桃を、最後まで追いかけて
川上からどんぶらこ……いや、颯爽と流れるピーチは、その姿かたちを変えながら、ときに予想外な跳ね方をしながら、川下まで転がり続けます。
最初は濃厚なピーチシロップのような、まっすぐで強い甘み。それが温度が落ち着くにつれて、プラムやスモモ、ジューシーなベリーのような甘酸っぱさへと、グラデーションのように変わっていきます。とろっとした滑らかな質感があって、飲み込んだ後も桃の余韻が長く残る。
途中で桃を拾い上げてはいけません。最後の最後、コーヒーが冷めるまで、その表情を見守ってみてください。熱いうちが華、なんて言いますが、この豆はむしろ落ち着いてからが本番です。
標高1,400m、コーヒー三角地帯の急斜面
産地はコロンビア中西部、キンディオ県。カルダス県、リサラルダ県と並んで「コーヒー三角地帯(エヘ・カフェテロ)」と呼ばれる、コロンビアコーヒーの中心地です。2011年にはこの一帯の景観がユネスコ世界遺産に登録されました。
登録された理由が、少し変わっています。建物や遺跡ではなく、「人がコーヒーを作り続けてきた風景そのもの」が評価されたのです。
アンデス山脈の斜面にへばりつくように、コーヒーの木が段々に植えられている。傾斜がきついので、機械はほとんど入りません。今も人の手で、赤く熟した実だけを一粒ずつ選んで摘んでいます。標高は1,400〜1,450m。昼は日が強く、夜はぐっと冷え込む。この寒暖差が実の熟すスピードをゆっくりにして、糖分と酸をぎゅっと蓄えさせます。
品種はカスティージョ。コロンビアの国立コーヒー研究センター(セニカフェ)が、さび病というコーヒーの木を枯らす病気に耐えられるように開発した品種です。「病気に強い=味は普通」と思われがちなのですが、正直、私も最初はそう思っていました。この豆を飲むまでは。
ルスさんの、20日間の待ち時間
この豆を作っているのは、マサトラン農園のルスさんです。
そして、この地域には「Cofinet(コフィネット)」という、革新的な精製で世界的に名前を知られた会社があります。ルスさんの豆は、そのコフィネットの技術と一緒に仕上げられています。
想像してみてほしいのですが、桃を一緒に発酵させるって、失敗するとどうなると思いますか。タンクの中の温度が数度上がるだけで、発酵は簡単に行きすぎます。フルーティーだったはずの香りが、一晩でお酒のような、あるいは酸っぱすぎるだけの香りに転ぶ。そうなったらもう戻せません。数十キロの豆が、まるごとです。
だからルスさんは、48〜72時間の発酵のあいだ、タンクの状態をずっと見ています。そして発酵が終わったら、今度は乾燥。アフリカンベッドという、風がよく通るように地面から浮かせた網の棚に豆を広げて、18〜25日かけて天日で乾かしていきます。
18〜25日。三週間近く、毎日豆をかき混ぜ、水分量を測り、雨が来そうなら覆いをかける。その繰り返しです。
派手な工程に見えて、実際の中身はほとんど「待つこと」と「見ていること」でできています。それでも、この豆に驚くほどはっきりと桃が宿っているのは、その20日間があったからです。
桃と一緒に眠らせる、インフューズド・ハニー精製
このコーヒーの正体は、精製方法にあります。
驚くほど「桃」なのですが、香料を後から吹きつけているわけではありません。発酵の段階で、生のフルーツの風味をじっくり移しています。
工程はこうです。まず、収穫したコーヒーチェリーの果肉を剥きます。ここで、種の周りに残る「ミューシレージ」という、糖分を含んだぬるっとした粘液は洗い流さずに残しておきます。
その状態の豆を、密閉タンクへ。そこに実際のピーチ(果肉や果汁)を一緒に放り込み、酸素をシャットアウトして48〜72時間じっくり発酵させます。これがアナエロビック(嫌気性発酵。酸素に触れさせない環境で発酵させる方法で、通常の精製では出ない個性的な香りが生まれます)です。酸素がない中で微生物が活発に働き、桃の華やかなアロマと甘さが、豆の内部までしっかり染み込んでいきます。
そして乾燥。ここでも水洗いはせず、ぬるっとした粘液質を残したままアフリカンベッドで18〜25日、天日で乾かします。これがハニープロセスです(工程で蜂蜜を使うわけではなく、この粘液のとろっとした質感がはちみつに似ているのでそう呼ばれています)。あえて粘液を残すことで、すっきりしたウォッシュド精製よりも、とろっとした質感と、はちみつを思わせる濃厚な甘みが引き出されます。
面白いのは、これだけ手の込んだ発酵をしているのに、お酒っぽいクセが強すぎないことです。あくまでフルーティーで、するすると飲めてしまう。
だから、この桃の香りは後から足したものではありません。豆が自分で吸い込んだ香りです。
誕生日じゃない日にも、心が跳ねる瞬間はあっていい。そんなことを思わせてくれる一杯です。
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♫ Beans Data 焙煎度:浅煎り FLAVOR NOTE
Origin : Colombia |
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